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イオシスX フォードのパリモーターショー
2006/09/29

2006年9月28日、フランス・パリ発 - 欧州フォードは、エキサイティングな新型クロスオーバー・コンセプト「イオシス(iosis) X」を、2006年パリ・モーター・ショーに出展する。欧州フォードのデザイン・チームは、フォードが掲げる新たなデザイン・テーマ「キネティック・デザイン(Kinetic design)をイオシスXで具現化している。

欧州フォードのエグゼクティブ・デザイン・ディレクター、マーチン・スミスは、「我々はこのクルマを『イオシスX』と名付けた。昨年発表した“キネティック・デザイン”のコンセプトカー『イオシス(iosis)』のシリーズとして、さらなる熟考を重ね、進化させている。その名が示す通り、イオシスとイオシスXの間には視覚的にも強い関連性があり、今回、『X』というアルファベットを付加することで、クロスオーバー車が持ち得る能力を示している。イオシスXは、エキサイティングな5ドアタイプのスポーツ・クロスオーバー。我々はキネティック・デザインのこれまでの枠を超え、ニッチ市場の世界に足を踏み入れた。キネティック・デザインのテーマである『走りのエネルギー』を採り入れて進化させ、未来のフォード車のあるべき姿を体現した」と語った。

イオシスXを発表することで、欧州フォードが未来のニッチ市場向けモデルを用意していることを人々に知ってもらうという狙いがある。


写真はジョン・フレミング社長兼CEO

欧州フォード社長兼CEO(最高経営責任者)のジョン・フレミングは、「欧州フォードでコンパクト・クロスオーバーやSUVを開発しているのではないかという憶測が数多く飛び交っていた。そこで、我々は、今後18ヵ月を目途にこのニッチ市場に参入する予定があること、そして我々のニューモデルがスタイリッシュかつ個性的であるということを示す極めて強力なメッセージを人々に伝えるために、このイオシスXを完成させたのだ」と語った。

フォードのイオシスXは、コンセプトカーであるため、将来の量産モデルの見本として作ったわけではない。「キネティック・デザイン」を通じて、フォードのデザインの方向性を表現すること、また、大胆かつエキサイティングな方法で、そのディテールをニッチ車両に応用する方法を模索するために作ったのである。

「人々は、フォードの将来の量産モデルにおけるデザインの方向性を感じ取ることができるだろう。来年の新型モデルの発表では、そのモデルとイオシスXとの関連性にすぐ気づくはずだ」とマーチン・スミスは説明した。

マーチン・スミスと彼のチームは、2005年のフランクフルト・モーター・ショーで世間を驚かせた新しいデザイン・テーマを、最終的にはフォードの欧州モデル全体に採用していく考えを明らかにした。初代イオシスは、フォードの考える「キネティック・デザイン」が最も示されたコンセプトカーだと言える。

マーチン・スミスは、「イオシス・コンセプトは、フォードのデザインを多くの人々に伝える重要な役割を果たした。イオシスに対する消費者やメディアの反響は、私たちに自信を与え、デザイン・チームが未来のフォード車づくりに向けてさらに前進するきっかけを与えてくれた」と語った。


イオシスは、これまでにない斬新なフォルムで、多くの人々を惹き付け、フォードに対する期待を高め、また、「キネティック・デザイン」の可能性を具現化する役割を果たした。

そして今回、フォードの将来の方向性を示唆する手段として、イオシスXを発表。すでに「キネティック・デザイン」の要素は、フォードS-MAXや2007年モデルの新型フォード・モンデオといった最新の量産モデルに反映されているが、このドラマティックなコンセプトカーは、欧州フォードで生産するラインアップのエクステリア・デザインが、変化を遂げていることをより一層明確に伝えている。

しかし、先代イオシスと同様、このイオシスXも、将来のフォード車の方向性を示唆するために作られたわけではない。

マーチン・スミスは、「イオシスXの役割は、我々の新たなデザイン・テーマを消費者により深く理解してもらうようにすることだ。“キネティック・デザイン”が一貫性と継続性を持つデザイン・コンセプトであるということを示すとともに、フォードがこのニッチ市場に参入する際も、このコンセプトカーが持つようなエキサイティングな魅力を持ったモデルを確実に導入できるということ伝えたい」と語った。


「違いを感じさせる」 - イオシスXのエクステリア
欧州フォードのエクステリア担当チーフ・デザイナー、ステファン・ラムは、初代イオシスが人々から高い評価を得ることが出来た理由のひとつに、その考え抜かれたフォルムの複雑さにあると分析した。「我々は、“キネティック・デザイン”をハイ・パッケージのボディにどのように採り入れることができるかを追求し、それを具現化することにこだわった。このドラマティックでエモーショナルなデザイン・テーマを、イオシスXのような車に反映させるのは、我々にとってかなりの難題だった」と語った。

ステファン・ラムと彼が率いるチームは、スポーツ・クロスオーバーやSUVといった近年台頭してきているトレンドを反映させる一方で、車両のサイズに関係なく、セグメントで優勢を誇っていた2ボックスカーの人気に陰りが見えてきている点なども設計に反映させた。

「今こそ、“キネティック・デザイン”を登場させる絶好の機会だ。つまり、イオシスXは、4ドアクーペの域を超えた、コンパクトかつフォードのドライビングダイナミクスを強調したクルマでなければならない」と、ステファン・ラムは語った。

ステファン・ラムと彼のチームは、「キネティック・デザイン」の主な要素をすべて残したまま、そのストーリーを新たな車開発にも反映させることに取り組んだ。その結果、流麗かつ力強さを感じさせる4ドアクーペの初代イオシス・コンセプトと、スタンス、ディメンションは全く異なるが、紛れもなく同じシリーズであることを示す5ドアのスポーツクーペ・クロスオーバーのイオシスXを完成させたのである。

マーチン・スミスは、「イオシスXには、我々がどのようにして全く異なるスタイルの車両に、“キネティック・デザイン”の要素を応用させたのかが示されている。初代イオシスで表現した主要なテーマやグラフィック的な要素はすべて生かしつつ、コンパクトなCセグメントカーであるという基本を踏まえながら、スポーティー感の強いクロスオーバーに応用させた」と語る。

正面から見ると、イオシスXは欧州フォード車のニューフェイスといった面持ちで、力強さが伝わってくるような大胆なルックスが特徴である。


最も顕著な特徴は、ロアーグリルをはじめとする、鋭角な逆台形エレメントで、「存在感のある逆台形のロアーグリルは、今や、フォードの非常に強力なデザイン要素だ」とステファン・ラムは説明する。

クロスオーバー車に相応しいこのロアーグリルは、アッパーグリルの面積をラム・エアインテークより若干大きい程度にまで縮小させることで、その存在感をさらに高めた。光沢のあるメタルバーによって分岐した水平方向に伸びるスロットには、フォードのブルーオーバルが、エンジンベイから前方に突き出ているかのように目立つように配されている。

法施行を目前に控えた歩行者保護性能については、フォード独特のフロント・オーバーハングとヘッドランプのデザイン・アプローチに影響を与えた。コーナー部分は大胆に面取りされ、オーバーハングの寸法も一見して短くなった。また、大型ヘッドランプも、フロントウィングの中に面取りされて収められたことにより、キックバックした独特のスタイリングに仕上がっている。

マーチン・スミスは、「我々は、歩行者保護規制をデザイン哲学の妨げになるものと捉えるのではなく、一種のデザイン特性としてポジティブに捉えた。車両前部における容積基準に適合させるため、単にコーナーを丸めるだけでなく、ボンネット先端からフロントウィングまで深くオフセットさせた。その結果、サイドからリアにかけて伸びる独特のショルダーラインが生まれた」と語る。

サイドは、逞しさを演出した面構成と、力強く描かれたショルダーラインが特徴で、ダイナミックに削ぎ落とされたラインや、大胆な造形のホイールリップが、イオシスXのダイナミクスを一層強調している。初代イオシスの大きな特徴のひとつであったフロントのホイールアーチ後方に設けられたエアベントも、イオシスXに採用し、フロント・ブレーキから空気を取り込む。

フロントドアは前ヒンジ、リアドアは小さめの後ヒンジとし、センターピラーをなくして乗降性を高めるとともに、視界の妨げがない優れた開放感を演出している。


ステファン・ラムは、「スリークォーターの前部、後部のどちらから眺めても、視覚的に目に付くのはホイールだ。それはイオシスXにもあてはまる。個人的には特に、後部スリークォーターからの眺めが気に入っている。初代イオシスと方向性を異にするように、アンダーカットのデザインを強調し、リアからフロントにかけて徐々にフェードアウトしていく陰影をうまく表現している」と語る。

ボディ上部と下部のバランスも絶妙で、このアンダーカット・デザインが、車に流麗さと、今にも走り出しそうな躍動感をもたらしている。この躍動感は、強い傾斜を持たせたルーフラインや、クーペのような形状のリアガラスを採用し強調。この自信に満ち溢れたフォルムは、イオシスXがコンパクトなCセグメントカーであることなど忘れてしまうほどである。

フロントのコーナー周りの処理も、目を惹き付け、それと同時に、面取りされ丸みを帯びたスタイリングが、リア・オーバーハングの長さを感じさせない。

「ルーフラインが中途半端に切れないようにするためにも、リアを長くとる必要があった。中途半端なラインだと、車全体のフォルムも途中で切れたような印象に見えてしまう」とステファン・ラムは説明した。

剛性感があり、ダイナミックなスキッドプレート形状の外装材がボディと離れるように車体下部に設置され、イオシスの新たな特徴を生み出している。

ステファン・ラムは、「通常、ロッカーパネルにはダークな色合いのプラスチックや塗装、あるいは粒状プラスチックを用いることが多いが、我々は従来と異なる方向性を目指し、この『スキッドプレート』をイオシスX独自のエレメントとして採用し、ボディと一体化しないよう、サイドパネル上に浮かせるように取り付けた。これらの形状は、F1車両のサイド部分に見られるようなエアロダイナミックフォイルをヒントに設計した」と語った。

サイドから見ると「スキッドプレート」は折りたたまれ、乗降をアシストするステップとして活用できる。プレート上には、タイヤのトレッドと同じパターンのラバートレッドが装着される。

「キネティック・デザイン」の主な要素には、台形と立体感を強調したフォルム、そして、それら2要素による相互作用が挙げられる。台形が最も目立つのは、逆台形のフロントグリルだが、そのほかにも、エクステリアの随所にデザイン的な演出が見てとれる。フロントのエアインテーク、フロントおよびリアウィンドーの丸みを帯びた左右底部コーナー、ホイール内側、リアピラーの曲面処理、滑らかな弧を描くボンネットなど、すべて「キネティック・デザイン」の基本要素である。

高い位置から全体を見下ろすと、イオシスXが持つ3面構成のフォルムの特徴が最もよくわかるが、ホイールには、ステファン・ラムが「チームがこれまで手がけたものの中でも最も奇抜」と評するほどユニークなデザインが採用されている。「ホイールにも立体感を高めた。特にホイール周辺のコンポーネントは、泥や水を掻き出すかのようなイメージを演出している」と語っている。

ライト類については、初代イオシスに大幅な改良を加え、最先端の照明技術を数多く採用している。

フロント、リアランプ類ともに、LED(発光ダイオード)を採用し、先端が後方へ流れ込むようなディテールにこだわった特徴あるデザインとなっている。しかし、最もこだわったのは、3D構造だけではなく、ボディの輪郭全体に3Dの効果を反映させることであった。


「まるで表面に取ってつけたかのように、あるいは隙間に無理やりねじ込むようにエレメントを採用し、ボディの一体感が失われてしまっている車が非常に多い。しかし、イオシスXは違う。ランプ類はボディ表面と一体化し、素晴らしい3D効果を生み出している。リアランプに目をやれば、すぐに新型S-MAXやギャラクシーとの関連性に気づくだろう」とステファン・ラムは語った。

ウィング形状のドアミラーに内蔵されているスポットライトは、フロントピラーの高めの位置に設置され、リアのフォグランプは、フローティングなスキッドプレートの上部に車幅いっぱいに配されている。

ボディカラーについても激しい議論が交わされ、チームはようやく最終局面にたどりついた。

このクラスの車としては珍しく、イオシスXは、塗装の仕上げとして、ボンネット全体にシルバーの2本ラインを走らせ、ガラスルーフにエッチング処理を施すことで、ブルーの「フリップ」効果をだした。氷のような透明感のある輝きを放つことで、ホワイトのボディが引き立っている。

マーチン・スミスは、「このタイプの車には、モスグリーンやグレーといったカラーが用いられることが多いが、我々は、イオシスXを透明感のあるホワイトにしたいと考えた。GT40やラリーカーのエスコート、それに現在のフィエスタSTも、ブルーのレーシング・ストラップをアクセントに効かせたホワイトボディで、非常に人気がある。これまでのフォード車の歴史を見ても、相応しい色だと考えた。しかし、単純にホワイトといっても、純白だと車が非常に重たく見えてしまう。そこで我々は、明るさのトーンを変化させるブルーの『フリップ』効果を用い、フォルムと形を表現することにした」と語る。

イオシスXのインテリア - 視覚的効果
ニコラウス・ビダゴビッチが率いるフォードのインテリア・デザイン・チームは、イオシスXのために、ドラマティックでエキサイティングなインテリアを創り上げた。

ニコラウス・ビダゴビッチは、「我々はまず、初代イオシスからポジティブな要素をすべて抜き出した。そして、これらをベースにビジュアル面での面白さを引き出し、クロスオーバーからは期待できないようなドラマティックな演出しようと試みた」と説明した。

室内には、各ユニットを連結させたような新設計の「インターロッキング・ブリッジ」センターコンソールを採用。最新ヘリコプターのコクピットをヒントに設計したこの大型コンソールは、インストルメントパネルから流れ落ちるように左右シートの中央を通り、リアで上向きに巻かれ、ルーフまで続くという演出で、圧倒的な存在感を醸し出している。

「スコーピオンの尾を想像してほしい」とニコラウス・ビダゴビッチは言う。しかしこのコンソールは、デザインの奇抜さだけでなく、実用面でも考えられた作りになっている。コンソール後部は、従来のヒンジの代わりにワンピースのリアハッチをサポートし、開口する機能を持たせた。また、スペアタイヤを安全かつ確実に収納することもできる。

室内中央のオーバーヘッド・パネルには、前席・後席乗員用のパーソナルランプに室内全体のルームランプ、そして後席乗員のエンタテインメント用スクリーンが格納されている。また、従来はドア上部のルーフレール上に設置される助手席、後席乗員用の3つのグラブハンドルも、このオーバーヘッド・パネルに格納される。

2対のガラスルーフが、中央に位置するオーバーヘッド・コンソールの両脇を走っているが、これらのガラスパネルにはさらなる特徴がある。ドライバーと乗員の座席の下に頑丈なガラスフロアが配され、地面という、まさに常識では考えられない眺めが提供されるのだ。

「4ドアクーペではなく、屈強なクロスオーバーであるこの車には、ほかとは異なるインテリア・デザインを施す必要があった。フロント部分には、車をコントロールするために必要な通常の機能を持たせるとしても、リア部分には照明や収納など、このタイプの車に相応しい要素を採用すべきだと考えた」とニコラウス・ビダゴビッチは語る。

すっきりと細身のインストルメントパネルも、初代イオシスから発展させたもので、こうしたいくつかのデザイン要素は、未来のフォード車にも採用していく予定。

また、インテリア・チームは、最新技術を活用して、情報、エンタテインメント、ヒーター、換気、エアコンといったハードウェアを制御システムから離して配置。これにより、インストルメントパネル下のスペースの自由度が飛躍的に高まり、フローティング・センターコンソールが生み出され、広々とした空間を実現する。また、消費者がそれぞれのニーズに合わせて選択し、カスタムできるような実用的な収納の開発にも取り組んだ。

リアコンソールについても、同様の工夫によりフロアスペースを拡大し、後席乗員にとって快適な空間を確保している。

細身のインストルメントパネルがドアのラインに沿って流れるように配され、前席乗員にドラマティックなコックピットの雰囲気を与えている。また、ドライバーの正面に位置するラジカルなステアリング・ホイールは、初代イオシスのホイールに改良を加えたもので、オレンジのパースペックスと対照的なホワイトの「ピアノ」インサートを特徴としている。

イオシスXの操作系は、センタースタックに配されたソフトな感触のタッチ・スクリーンと、タッチ・センシティブのスイッチ類を特徴とする。


メインのインストルメントは、オレンジの照明が光る1対の透明ダイヤルによって3D効果が生み出され、それぞれゴーグルのようなビナクルに格納されている。これらのダイヤルの間には、フォード独自のヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI:Human Machine Interface)スクリーンが置かれ、ドライバーはナビゲーション・システムや先進のクルーズ・コントロール機能をはじめ、各種設定を容易に行うことができる。

イオシスXは、機械的な面でのプロトタイプを意図した車ではなかったが、センターコンソールには、電子制御式のシーケンシャル・シフトを装備。そのデザインは、多くのコンピューターゲームに見られるような革新的なもので、手のひらにすっぽりと収まるサイズになっている。また、ギアシフトの周囲にはソフトタッチのスイッチ類を装備し、サスペンションやトラクションなどの各種調節、設定を行うことができ、ダイナミックな走りを実現する。

ダッシュボードの顔とも言えるエアベントは、まるでその存在を隠すかのように、目の細かいメッシュで覆われている。

このメッシュに関し、ニコラウス・ビダゴビッチは「我々は何年もかけて、このメッシュの開発に取り組んできた。メッシュがエアの流れを制限し、振動しないようにするにはどうすればよいか、多くの努力を要した」と明かした。

LEDとライトパイプによるオレンジ色のムード照明が、室内を照らし出す。しかし、ルーフに設けたフロストガラス(ボンネットからルーフまで伸びる2本のシルバーストリップの延長)のみならず、ガラスフロアまで備えた車内には、あまり多くの照明は必要としない。

「我々は、ドライバーや乗員に外の世界とつながっているような感覚を味わってもらい、周囲の景色がより鮮明に見えるデザインを追求した。このガラスフロアは、車としては類を見ない試みで、グラスボートで海底を眺めるのと同じような感覚が味わえる。乗員は移動しながら地面を見ることができるのだ」と、ニコラウス・ビダゴビッチは語っている。

さらに、ガラスパネルの両側にレールを設け、そのレール上にフロントシートを固定するというユニークなシステムを開発した。このシステムにより、フロントシートの下にスペースが生まれ、後席乗員の足まわりにより一層余裕ができた。

シート自体の構造も非常に複雑になっており、クッション部のサポート機能を強化させたシートバックや、シート一体型シートベルトの採用など、クロスカントリーや軽めのオフロードといった苛酷な走行にも耐え得るような設計をしている。

「我々は、台形という要素やテーマを、エクステリアと関連させる形でインテリアにも取り込んだ。シートメタルやピアノホワイトといった素材を用いてボディワークと連動させ、全体として調和のとれた仕上がりを目指した」と、ニコラウス・ビダゴビッチは語る。

カラーとトリムが醸し出す、洗練さ
カラー・トリム担当チーフ・デザイナー、ルース・パウリは、「我々がイオシスXで試みたのは、フォードの新デザイン・テーマを進化させ、新たな段階へと導くことであり、これを色やマテリアルのデザイン戦略の中に反映させようと考えた。つまり、質感とディテール、タッチとサーフェス・デザインに新たな要素を置いた」と語っている。

初代イオシスと比較して、ルース・パウリと彼女が率いるチームは、イオシスXが持つドラマティックな4シーターキャビンという性格から、エキサイティングな要素を持つエクストリーム・スポーツをイメージし、それに似合うマテリアルや色彩を選択した。

「友人にヘリスキーやアイス・クライミングといったエクストリーム系のウィンター・スポーツをしている人がいて、ミュンヘンで開催されたスポーツ用品フェアを訪れたことがあった。その際に、インテリアにエクストリーム・スポーツの要素をどのように取り込むかという点で、多くのインスピレーションを得ることができた」とルース・パウリは語った。

イオシスXに採用しているカラーやテクスチャーは、極めてクールで鮮やかなもので、初代イオシスのダークな雰囲気とは対照的である。スポーティーで躍動感があるという点では共通しているが、イオシスXでは上質感をより強調し、トリムの縫い目やステッチ、素材のコンビネーションなど、ディテールへのこだわりが強く感じられるつくりとなっている。

ブーツ、ヘルメット、ボディプロテクター、ゴーグル、グローブ、最新のカーボンスキー板まで、最高級のスキー用品について研究を重ね、さらには彼らが好む音楽やファッション・アクセサリーにいたるまで徹底的に分析した。その結果、導き出されたキーワードが、快活さとフレッシュさ、そして若々しさだった。

しかし、イオシスXには伝統的なマテリアルも使用されている。トリム素材には、最高品質のヨーロピアン・ヌバックや欧州製のアニリンレザーも随所に用いられ、審美眼のある人なら、室内のブルーの色合いが微妙に変化していることに気づく。

「我々が選んだのは、落ち着きがあり、洗練された色合いのブルー。そのブルーにインパクトの強い蛍光色のアクセントやオレンジのハイライトをプラスした。非常にはっきりとした強烈なカラーは、クラシカルなフォードのコーポレート・カラーのブルーとは大きく異なる」とルース・パウリは説明している。

インテリアには、ピアノブラックが用いられることが非常に多いが、光沢感の強いピアノホワイトという、まさに対照的な色を、センターコンソールとステアリング・ホイールに採用した。

「商品デザインの観点から、ホワイトは非常に強力なテーマがあり、我々はそうしたホワイトをエクステリアとインテリアの両方に採用した。ホワイトに洗練されたスポーティー感を与えることで、色に深みと質感が加わった。インテリアに関しては、光沢感を強調するピアノ仕上げを施したホワイトにメタルを組み合わせた。さらにダークなプレミアムレザーとのコントラストを演出することで、次世代のマテリアルを思わせる新たな洗練さが加わった」とルース・パウリは語る。

その結果、インテリアに冷たさと暖かさをイメージするテクスチャーを共存させ、さらにメタリックなエレメントで強調することでコントラストが生まれ、異なる素材や色を組み合わせることで、緊張感が生まれた。


「異なるテクスチャーや仕上げを用いることで、モダンなクロスオーバーを新たに作ろうとしている」とマーチン・スミスは語る。

シート一体型シートベルトが装備された4組のハイエンド・スポーツシートは、ドライバーや乗員にハイレベルの快適性とサポート性能を提供する。すべてのシートには、ルース・パウリと彼女のチームがスキー用品のテクニカルな奥深さに興味を惹かれ、それらをヒントに採用した4つの異なるマテリアルが組み合わされている。

シートは、アルミニウムのスケルタル構造で、あたかも人間の胴体をモチーフにしているかのようなユニークなデザインが特徴。これらには、レザーを基調にこのシートのために作られたという織物素材が組み合わせられ、異なるマテリアルの対比を強調するようなステッチが施されている。ダイヤモンド状に織られた粗めのテクスチャーによるリッチなディテールは、3Dのような立体感を演出するとともに、粗めのテクスチャーは乗員に高いグリップ感を提供する。

このテーマは、インナー・ドアパネルやインストルメントパネル全体にも反映されており、新技術を使ったマテリアルやネオプレン(合成ゴムの一種)がアクセントやディテールとして用いられている。ドアやダッシュボード周りなど、触覚的な要素が大きいエリアは、レザーで覆い、インテリアに高級感をもたらしている。

フローティング・センタースタックは、ピアノホワイト、トランスルーセント・オレンジのパースペックスを組み合わせることで、新技術の繊細さと上質感のあるソフトな色合いのブルーグレーのインテリアを引き立てている。

インテリアにピアノホワイトを採用することで、視覚的にも、また感覚的にもエクステリアと直結したようなデザインとしている。

インテリアのカラーやディテールは、雪や氷をテーマとし、エクステリアのカラーを進化させていった。

「氷のトンネルの中に入って目に映るのは、シルバーやパウダーホワイトといった色。我々はそうした色をイオシスXのエクステリアに反映させた。それにより、パウダースノーを思わせる外観がテクニカルに表現され、クールなブルーフリップのペイントと対照をなすシルバーのラインによって、その効果がさらに高まる。

我々は初めて、スキーの自由な精神を反映したデザイン・エレメントを進化させて、車のデザインに応用させたと確信している。スキーは非常にエモーショナルな体験ができる。それは、我々が人々にイオシスXに乗って楽しんでもらいたいことと同じ種類のものなのだ」と、ルース・パウリは締めくくった。


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