『ランサーエボリューションMIEV』で「四国EVラリー2005」に出場 - 三菱
2005/08/24
三菱自動車は、高性能4WDスポーツセダン『ランサーエボリューション\』をベースに、新型インホイールモーターとリチウムイオン電池を搭載した、4輪インホイールモーター駆動の実験車『ランサーエボリューションMIEV』を製作し、8/27(土)〜28(日)に徳島県で開催される電気自動車のイベント「四国EVラリー2005」(主催:四国EVチャレンジ委員会、四国EVラリー2005実行委員会)へ参加することにした。
三菱自動車では、「インホイールモーター」(モーターを車両のホイール部に内蔵)と、エネルギー密度などの性能面で有利な「リチウムイオン電池」をコア技術とした、同社独自の次世代型電気自動車「MIEV(ミーブ、Mitsubishi In-wheel motor Electric Vehicle)」の開発を推進しており、2010年までに市販化する計画である。
今回の『ランサーエボリューションMIEV』は、先に発表した『コルトEV』に続く、MIEV実験車の第2号車となる。『ランサーエボリューションMIEV』には、『コルトEV』に採用した、内側に回転軸(ローター)がある一般的な構造のモーターとは異なり、内側が空洞で、円筒状のローターが外側にある、新開発の「アウターローター式インホイールモーター」を搭載した。この構造によるメリットは、出力・トルクを増大させやすいこと、トルクアップによる減速機の省略とこれに伴う軽量化・高効率化、スペース効率の良さ(ブレーキ等を内部に収納でき、モーター自体も車両のホイールハウス部へ収めやすい)などが挙げられる。「アウターローター式」構造の採用により、操舵機構が存在する前輪にもモーターを装着することができ、4輪インホイールモーター駆動車の実現が可能となった。
この『ランサーエボリューションMIEV』は既にナンバーを取得しており、今回の「四国EVラリー」など、公道上を含む様々な走行条件下での実用性評価を重ねて、環境面だけでなく動力性能や運動性能といった面でも従来のガソリンエンジン車を上回るような高性能電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車の実現を目指す。
『ランサーエボリューションMIEV』概要
三菱自動車が提唱している「MIEV(ミーブ、Mitsubishi In-wheel motor Electric Vehicle)」は、同社が実用化に向けて取り組んでいるリチウムイオン電池と、車両のホイール部にモーターを内蔵した、いわゆるインホイールモーターの2つの技術を核に、これらの長所を生かした次世代型電気自動車の開発を推進する構想であり、ハイブリッド車や燃料電池車へ展開することも視野に入れている。三菱自動車は、この「MIEV」構想に基づく研究車両の第1号車として、コンパクトカー『コルト』をベースに、2基のインホイールモーターを後輪に装着し、主電源としてリチウムイオン電池を搭載した『コルトEV』を製作し、インホイールモーターシステムの開発試験を進めている。
この『コルトEV』に引き続き、三菱自動車は、高性能4WDスポーツセダン『ランサーエボリューション\』をベースに、エンジン、燃料タンク、トランスミッション、ディファレンシャルギヤやシャフト類などの4WD機構などを取り外して、代わりに新開発のインホイールモーターを全ての車輪部に搭載し、主電源のリチウムイオン電池を前後輪間のフロア下部(4WDシステムの空いたスペース)に搭載した、4輪インホイールモーター駆動の実験車『ランサーエボリューションMIEV』を製作した。
今回のインホイールモーターは、東洋電機製造叶サ作のモーターに三菱自動車の車載技術を組み合わせて開発された。モーターの最大出力は50kWで、「アウターローター式」構造という特徴を備える。これは、『コルトEV』に搭載した、回転軸(ローター)が内側にあるオーソドックスなモーター(インナーローター式)とは異なり、内側が空洞で、円筒状のローターが外側にある、ドーナツ型の構造をしている。この方式により、主に以下のようなメリットが見込まれる。
- 出力・トルクを増大させやすく減速機が不要なため、駆動力のロスを低減すると共にバネ下重量の増加を抑制することができる
- 減速機がないことにより、モーターを車両のホイールハウス部へ収めやすい
- 内側が空洞であることから、ブレーキ等の部品を収納することが可能
これらにより、操舵機構が存在する前輪にもモーターを装着することができ、電気自動車の可能性を更に広げる「4輪インホイールモーター駆動車」の実現が可能となった。
『ランサーエボリューションMIEV』の主な目的の一つは、4輪インホイールモーター駆動車の鍵となる、アウターローター式インホイールモーター構造の様々な走行条件下での実用性評価である。このため、テストコースだけでなく公道上でも評価を実施できるよう、ナンバーを取得した。これらの実用性評価を通じて、アウターローター式モーターでの課題と想定している、路面からの前後左右上下の入力や水・砂などに対しての信頼性・耐久性を確認するとともに、更なる高性能化や軽量・小型化を目指して、研究・開発を進めていく。
さらに今後、三菱自動車が得意とするオールホイールコントロール技術のノウハウを活かし、4輪それぞれのモーターの駆動力・制動力を独立制御するシステムを開発し、同車へ搭載することも検討しており、環境性能だけでなく、動力性能や運動性能といった面でも従来のガソリンエンジン車を上回る、ハイパフォーマンスな電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車の実現を目指していく。
<ランサーエボリューションMIEV 車両レイアウト図>
<新型インホイールモーター(アウターローター式) 構造図>
<ランサーエボリューションMIEV 主要諸元>
ベース車:『ランサーエボリューション\』
全長 |
4490mm |
全幅 |
1770mm |
全高 |
1450mm |
車両重量 |
1590kg |
乗員 |
5人 |
最高速度 |
180km/h |
一充電走行距離(10・15モード) |
250km |
モーター (アウターローター式) |
種類 |
永久磁石式同期モーター |
メーカー |
東洋電機製造(株) |
最大出力 |
50kW |
最大トルク |
518N・m |
最高回転数 |
1500rpm |
寸法 |
直径445mm×134mm |
搭載数 |
4基 |
電池 |
種類 |
リチウムイオン |
メーカー |
(株)ジーエス・ユアサ コーポレーション |
容量 |
95Ah |
電圧 |
14.8V |
寸法 |
388mm×175mm×116mm |
搭載数 |
24個 |
制御装置 |
インバーター制御 |
駆動方式 |
4輪駆動 |
タイヤ |
235/30ZR20 |
「四国EVラリー2005」概要
公道走行が可能な電気自動車による「四国EVラリー」は、電気自動車の普及を図る四国の大学関係者によって1998年から毎年開催され、今年で8回目となる。
三菱自動車は、初回から〜2003年の計6回、実験車『FTO-EV』と『エクリプスEV』にて同イベントに参加している。今回は完成したばかりの実験車『ランサーエボリューションMIEV』にて参加し、同車両の公道走行試験や充電試験などを兼ねて、同社の次世代電気自動車構想「MIEV」を一般に広くアピールすることを目指す。
<四国EVラリー2005 開催概要>
日時: |
8/27(土)〜28(日) |
主会場: |
徳島工業短期大学(徳島県坂野郡坂野町) |
主催: |
四国EVチャレンジ委員会
四国EVラリー2005実行委員会 |
内容: |
電気自動車による公道走行(主会場を基点に設けられた計12のコースを走行)
特設会場における性能計測 |
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