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ROADSTERはプレミアムオープンか?
待望のFMCでマツダロードスターはガイシャにどこまで迫ったのか? | 2005/09/01 |
■運転席
銀色に輝く5つのリングと、チラ見に耐えうる正確性を追求したフォント。この文字の形こそがスポーツに求められる最低限の基礎だ。今後100年経ようが真理であり続けることだと思う。少しだけ他のクルマのオリジナリティーを取り込んでいるようにも見えるが、大きく譲って判断すると、質感アップにつながっているのでよしとする(笑)。走りこむつもりの前よりなシートセッティングに、ステアリングホイールやシフトレバーなどのインターフェイスの位置関係が破綻することもなく、すぐになじめるのはこのクルマの美点だ。シートも存在を主張しないのに体をしっかりとホールドし、その出すぎず引っ込まず具合は絶妙だ。なにしろイスに座っていることを忘れそうになる。スパルコのシートに交換したバカには嘲笑をくれてやれ!結果ワインディングでひざを使って体を支える必要がなかったのも特筆ポイントだ。ステアリングホイールにテレスコピック機構はついていないが、チルト機構で充分である。
■メカニズム
メカニズム的には前モデルからのキャリーオーバーもあるが、一通り紹介する。エンジンは新開発のMZRエンジン。同クラスの旧型エンジンからロスを取り去り、各種機構の同調をより最適化し、軽量化を進め、スロットル制御をバイワイヤ化したものと考えていい。これまでにない開発費を掛けて完成したこのエンジンは、やがて同社他車種に横展開される。しかし見ようと思ってはいけない。エンジンフードを開けると、そこには魚の内臓のような状況が待っている。あまり人が見ることのない場所だけに、そっとしておいてあげよう。
6MTの熟成もさることながら、今回チェックできなかった6ATも横展開されるはずだ。エンジンの展開予想とまったくオーバーラップさせて考えてよいと思う。つまり、アクセラの上位モデルなどにも搭載される可能性が大いにある。むろんRX-8もしかりである。
その他DSCのオプション設定があることや、トルセン式LSDの採用(RS)などもあげられるが、オープンの宿命、ロック機構について少々。オープンカーがオープン状態を楽しませるためには、やはりルーフ開閉機構が面倒であってはいけない。フル電動や一部手動で開閉できるオープンカーは、いまや少なくない。ロードスターはエンヤコラルーフであることに変わりはないのだが、ほぼワンタッチと呼べる状態に改善された。画像はロックする手順だが、見づらいので拡大してみていただけるとありがたい(いまさらながら取材レポートの画像はクリックで拡大表示します)。
開く場合にはロック解除ボタンを押しながらレバーを引っ張ればオーケー。ルーフをトランク側に向かってガチャッと音がするまで押し込んで作業完了である。ここまでの簡易性は、ロードスターとしてはこの新型から用意されたものである。簡単になっていながらも、高速走行時にルーフ先端の継ぎ目が浮き上がらなくなったのも技術的に高評価したい。
ルーフサイドのドアウィンドウ上部との接触部分に耳がつけられ、雨の日の乗降時に室内に侵入する水滴を防ぐのもちょっとしたアイデアだ。
メカニズムと呼ぶまでもない部分での改良もより加えられている。たとえばドアの開閉音は低く重厚な方向にチューニングされた。ボンネットフードとトランクリッドをアルミ化し、旋回時の慣性モーメントを小さくした。旋回といえば、Aピラーの付け根をより運転席側に近づけたことで、旋回走行時のコーナーの見切りをかなり改善している。
アメニティー面ではSLKのエアスカーフに対抗しうる、ウェストルーバーと呼ばれる腰の位置に向かって吹き付けるベンチレーションが冴えている。
なお、あまりに記憶にないので後回しになったが、少なくとも一般道の走行では、風の巻き込みはなかった。優秀なオープンカーであることに間違いないだろう。
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