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時代との対峙 - BMW740i
拡大、縮小と表情を変える今の時代に対応できているのか? | 2009/05/17 |
■スタイリング
魚の中でも甲殻類を補食するために歯がくちばし状になったブダイをモチーフとしているようなアンダーグリルになった7シリーズ。英語ではオウム魚(Parrot fish)と呼ばれることから、5シリーズのフクロウに対するオウムという見方も出来るかも知れない。
ロービームの先にシルバーのチッピングが施されたヘッドライトユニットは、先代の眉毛様の点灯パターンを廃止した。この眉毛部分はポジションライトとして点灯することもない。少し残念。
この角度からの眺めに加えてボディーカラーが非常に明るいのでわからないが、ボンネットの中央の表現がBMWとしては珍しく、くぼんでいる。キドニーグリル両脇からAピラーに向かって伸びるラインに挟まれた部分は、膨らんだ面構成になっているのがBMWの通例だが、このクルマはくぼんでいて、運転席から見ると両フェンダーが盛り上がっているように見える。しかしウィンドウの面がA・Cピラーなどに融合する表現など、BMW流の表現の延長線上にある表現もある。裕福な人には攻守二手があり、守り側の裕福な人は変革を嫌う。BMWは攻め側の裕福な人をターゲットにしていることと、守りの裕福な人を排除することを同時に実施していると結論づけられる。
そうは言っても最近のBMW、昔のベタなクルマ好きに対して色目を使わなくなったようにも見えて、またまた少し残念。
さて、このモデルから通常ラインナップに加わった新色のミネラル・ホワイトはいかが感じられてましょうか。パールパウダー配合になってございまする。それがし ボクはずっと白のボディーカラーに乗ってきて、先代5シリーズでチタンシルバー、現行5シリーズでモナコブルーを選択したものの、i(アイ)で白に戻したくらい白にうるさいつもりですが、この日の天候に日差しは皆無で、パウダーの効果というのが全くわかりませんでした。これで残念打ち止め。
発表時、レクサスLSにそっくりと話題になったこの眺め。実物を見れば相違点しかなく、一致するのは両端を折り上げられたコンビネーションテールランプくらいしかない。そもそもトランクリッドにでこっぱちを与えて容量を稼ぐ手法を編み出したのはBMWで、そこを無視するのは知能が疑われることも考えられ、やめたほうがいいと思う。
フロントの写真ではわかりにくいが、実はサイドに強くいれられたキャラクターラインがフロントのランプから始まりテールランプで消えている。何かが変化するときに何かを維持して連続性や統一感を保つというのは芸術的な手法。あらゆる感性を多面的に受け入れる下地があってこそこういう発想が生かされるわけだ。日本のメーカーでそれをやろうとすると、多分「あってもいいけどなくてもいいよね」と誰の理解も得られないまま消えていく発想だろう。日本のカーデザイナーの皆様、大変ご苦労様です。
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