|
|
時代との対峙 - BMW740i
拡大、縮小と表情を変える今の時代に対応できているのか? | 2009/05/17 |
■運転してみると
発進するときにウィンカーを出そうとすると、レバーのストロークが長くなっていた。これはキャンセルしようとすると反対にウィンカーが出てしまう問題の対策になっている。もしかすると機械式レバーに戻すかも知れないと思っていた部分だが、これもひとつのソルーションとして納得できる。
発進させてすぐに、少しだけスロットルペダルを踏み込むと、レスポンスよく加速がついてくる。同時に気づくのはタイヤの当たり。すでにランフラットタイヤではなくなっているが実はランフラット。タイヤ自体も進化していることだろうと思うものの、タイヤだけで解決できるならば他のBMWも同じ状況になっているはずで、ランフラットに合わせたチューニングをかなり綿密に、かつ他のモデルに対して排他的に実施していると考えられる。なにしろ段差を通過するときのドタバタという音がない。今後このクルマは各メーカーで足回りをバラバラにされることだろう。
メーターパネル自体は透過照明式で、燃費計辺りより下部がLCDになる。このLCDがまた高精細で、燃費計は弧を描くバーグラフになっているが、まるで液体が伸び縮みするごとくヌメヌメと動くのである。この表現にはある程度の仮想モーメントの加算が必要なはずで、物理的な針を持った燃費計の指針の動きとそっくりなのは大したものだと思った。回転計のレッドゾーンは可変表示ではないが、可変でない以上エンジン始動直後にフル加速をしても問題ないのだろう。
さて、走り的には2000年過ぎに始まった新世代BMWサウンドとは異なり、吸気音が激しいチューニングになっている。パーシャルスロットルで走行中は当然静かながら、ひとたびスロットルペダルを踏み込むと、ランボルギーニに負けない素晴らしい吸気音を奏でる。これまでの「ボワアァァ」と加速する6気筒はこの新型7シリーズで廃された。静かに走行している中でパンと踏み込んだ時に聞こえる雄牛流のテノール(か?)は是非聞いて欲しい。
走行中にSPORT+という走行モードに変更して走ると、トラクションコントロールまでカットされる。雨上がりのチョイ濡れな路面だが、少し実力を見ようと横断歩道のない交差点で少し強めの加速を伴いながら左折したが、全くよたる気配はなかった。基本性能の充実は安定した走行を実現する基本中の基本で、このクルマは安心して飛ばせる一台であることを実感した。
Uターンでも5シリーズ程度の半径で回転したことは些末な問題で、走行時に発生するいろんな状態からの過渡特性を煮詰めに煮詰め、切り立った変化を徹底的に消滅させたのがこの新型であると結論づけた。
<特別付録>
車内で聞こえるカッコイイ吸気音をどうぞ。
取材記事一覧へ
|
|
|