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フィアット グループ、クライスラーと世界規模の戦略的提携に合意
2009/05/02

フィアット社(フィアットS.p.A.)とクライスラー社(クライスラーLLC)は本日、世界規模の戦略的提携に関して基本合意に達し、合意文書に調印したと発表しました。この提携は2つの柱からなり、1つは、フィアットがクライスラーに対し、様々なプラットフォーム、技術、モデルに関する権利を付与し、調達や世界販売といったクライスラー事業の中核部分での経営支援、および協力を行うというもので、もう1つは、フィアットによるクライスラー株の取得です。


1. フィアット グループのセルジオ・マルキオンネCEOの声明

フィアット グループのセルジオ・マルキオンネCEOは次のように述べています。

この取引は、近年のクライスラーだけではなく、世界の自動車市場全般の問題に対処する建設的、かつ重要なソリューションとなるものです。フィアットが有する世界有数の中小型車向け技術、プラットフォーム、パワートレインや南米・欧州での広大な販売網と、クライスラーの豊かな伝統、北米での存在感、優秀で熱心なスタッフを融合させて強力な新会社を設立し、雇用の確保と米国およびカナダ経済の要である製造業の保護に貢献するものです。

当社は、1年ほど前にクライスラーとの協議を開始して以来、両社の強みを活用し、強力な自動車メーカー2社が、より効果的に世界で戦うために必要な規模、効率、コスト削減の達成を目指してきました。本合意は、この目的を達成する重要な一歩となります。

私たちの取り組みは、まだ始まったばかりですが、クライスラーの新たな仲間と共に、この提携の大きな潜在性を活かし、アルファ ロメオや受賞履歴のあるチンクエチェント(フィアット500)など、当社の人気ブランドを北米のお客様に再び訴求していきます。

カナダの協力を含む米国の自動車対策委員会による絶え間ない献身、努力、創意工夫がなければ、この提携の発表には至らなかったでしょう。このような交渉に伴う数多くの障害や問題を乗り越えていく中で、自動車対策委員会は本プロジェクトに信頼を寄せ続けてくれました。自動車対策委員会はこの交渉を経て、自動車市場においてクライスラーを長期的に存続可能な企業として再建させるための条件を作成しました。

米国およびカナダ両国の労働組合からも、彼らの要求する手当てや持分の縮小に同意していただく形で大きな協力を得ました。米自動車労働組合とカナダ自動車労働組合がリーダーシップを発揮して助力してくださったこと、そして素晴らしいクライスラーの再建に向けて、共同の取り組みの建設的な一端を担ってくださることに感謝します。

今後、数週間から数ヶ月にわたり、多くの時間をクライスラーの従業員の皆様と会い、施設を視察して回ることに費やします。この提携には、米国の法律に則った数週間の手続きが必要となりますが、信頼性と競争力のある自動車メーカーとして迅速に復活できるよう準備を進めます。クライスラーは変革の精神に立ち返り、製品の要となる品質を重視し、顧客の声を聞き、顧客の要望に合った車を提供することで、昨今の厳しい市場における困難を乗り越えていくことができると思います。これは、フィアットがここ数年、厳密に実行してきたモデルであり、クライスラーの伝統に新たなページを加える取り組みにも当てはめることができると信じています。

このほど最終合意したこの取引は、フィアットにとってもイタリア産業界にとっても歴史的な合意であり、将来に向けた強固な基盤を新たに築く大きな一歩となります。

今日はまた、フィアットの全社員にとっても喜ばしい日です。フィアットのノウハウが米国、カナダ政府の高官から評価を受けたことは、当社の今後の業務における大きな動機付けとなるでしょう。このような評価を受けたことに対し、私はグループのマネジメントチーム全員を代表して、感謝の意を表すものです。

フィアットはこの提携を通してより強力に、より国際的に発展し、世界市場でより大きな競争力を持つことができると確信しています。

2. 取引

この取引は、米国破産法の一定の条件に基づき、クライスラーの全資産を新会社に実質的に速やかに売却するものです。米財務省、その他カナダ政府、米国自動車労働組合(UAW)、カナダ自動車労働組合(CAW)などとの緊密な協議の結果、クライスラーはこのような道が債務の整理に最も有効であると判断しました。このため、クライスラーは本日、ニューヨークの破産裁判所に、クライスラー事業の新会社への売却の承認を申請します。規制当局の承認を経て、裁判所が取引を承認すれば、関係各社は早急に取引を完了するよう求められます。

申請が承認されるまでの間、現クライスラーは従来通り業務を継続します。米財務省とカナダ政府は、クライスラーが従業員への責任を果たし、当座の必要を満たすための資金を提供します。

クライスラーは5月より、小口融資も扱うGMAC社と大規模融資契約を新たに締結します。

取引成立時に、新会社はクライスラーの社名を引き継ぎ、債務を負うことなく実質的にクライスラーの全事業のオーナーとなります。

成立時に、新会社は完全希薄化ベースで20%(議決権、価値)の株式をフィアットに発行します。フィアットはクライスラーと労働協定を締結します。

同様に任意従業員福利厚生協会(VEBA: Voluntary Employee Benefit Association)は、成立時に、完全希薄化ベース(※元3注:発行株式の議決権に加えて新株予約権などに与えられている権利も算定のベースに含めているという意味になります)で約55%のクライスラー株式の発行を受けます。この株式は米財務省が管理します。米財務省とカナダ政府が残りの10%(完全希薄化ベース)を所有します。

新生クライスラーは、UAW、CAWと新たに合意した団体協約や、米財務省による融資約65億米ドルなどの恩恵を受けることになります。

新生クライスラーは9名の取締役からなる取締役会によって運営され、そのうち3名はフィアットが指名します。フィアットの指名する取締役のうち1名はニューヨーク証券取引所の規定する独立性の基準を満たしている必要があります。VEBAとカナダ政府はそれぞれ1名ずつ取締役を指名する権利を有します。米財務省は最初に4名の取締役を指名する権利を有します(そのうち3名は独立性を確保しなければなりません)。

フィアットはさらに完全希薄化ベースで最大15%(議決権および価値)の株式を受けることができます。これはあらかじめ設定する目標の達成度により5%ずつ分割で取得します。具体的には、米国でFIREエンジンの製品群を生産するための当局の承認を受けること、NAFTA外におけるクライスラー車の販売、フィアット技術に基づくクライスラー車を生産するための当局による承認を受けることです。15%の追加株式を取得後、フィアットは、クライスラーの取締役をもう1名指名することができるようになります。

さらに、フィアットには追加で16%の株式を取得するオプションが与えられます(2013年1月1日から2016年6月30日に行使可能)。この追加株式の金額は、一定の市場基準に従って決定されますが、いかなる場合もその時点におけるフィアットの株価収益率を超えないものとします。このオプションは米財務省の融資残高が30億米ドル以上ある間は、行使ができません。

フィアットによる株式取得は、クライスラーが米財務省による融資を完済するまで、49%を上限とします。

3. フィアットの役割

フィアットは主要技術の提供やその他のサポート支援において、クライスラーの再建に貢献します。

フィアットのクライスラーに対する支援には、以下のものがあります。
  • フィアットと第三者間のいかなる制限協定にも従うことを条件として、NAFTA内でのクライスラー車生産のため、フィアットの全車両プラットフォームの使用権を付与する
  • フィアットのエンジンやその他の重要な技術の一定の使用権を付与する
  • フィアットの経営再建および産業復興に関する経験を生かして、引き続き、継続中の経営支援を行う
  • 購買・調達計画をクライスラーと共同で行う
  • NAFTA外の国でのクライスラー車の販売支援を行う(特に、クライスラーが現在、限定的な市場プレゼンスしか持たない国において、フィアットの販売網を提供する)

この提携はクライスラーの再建計画の中核をなすもので、これによりクライスラーは、競争力が高く燃費効率のよい車両プラットフォーム、パワートレイン、その他部品をクライスラーの製造拠点で製造できるようになります。従って、この提携はクライスラーの長期的存続の実現強化につながります。

フィアット グループとクライスラーは同時に、それぞれの販売網の相互活用と、製造拠点や世界のサプライヤー基盤の最適化が可能になります。この提携では、フィアットによるクライスラーへの現金による出資は行わず、今後のクライスラーへの資金提供を約束するものでもありません。

2009年4月30日(イタリア・トリノ発)
以上、プレスリリースより

さて、いろいろとぼやかして書いてありますが、あれあれー?と思う部分は以下2点。
・組合はのうのうとしてるわけ?
・フィアットが提供する内容はいいとして、でもボランティアじゃないでしょ?
ここはぼやかすところではないわけです。普通こんな表現されるとフィアット株主はちょとまてってことになりますが、フィアットって完全国営企業だったかなー? まあ米政府などには連絡しているかも知れませんが、「プレゼンス」は弱いです。(元3)




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