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新型3シリーズの妥当性
BMW新3シリーズフルラインナップ揃い踏み | 2005/05/22 |
■インプレッション
今回330i、325iおよび320iのフルラインナップ試乗が可能となった。ただし評価範囲は街乗りにとどめた。
まず新しいエンジンを搭載し最高出力190kw(258ps)となった330iだが、その扱いに特別な神経を要求されることはない。キーユニットをコンソールに差し込みブレーキペダルを踏みながらボタンを押せば、エンジンが始動する。ウィンドウを下ろし、リジッド感の強い6ATをマニュアルモードで1速に入れて発進すれば、オープンスポーツであるZ4さながらのサウンドを披露する。そのままスロットルペダルを踏みつづければ、リニアなトルク感を維持したまま4,000rpmあたりから高周波が高まり7,000rpmまで伸びてゆく。テスト車にはアクティブステアリングが非装備であったが、重さや反応はBMWとしては標準的な重めでウェットな、しっとりというよりはジトッとしたセッティングになっている。ATのセレクタをMモードに切り替えエンジンブレーキを試みると、そのギアのつながりは非常にスムーズ。ギミックではなく実用を目的として回転を同調させるよう制御される。パニックブレーキは非常に強力で鼻先をあらぬ方向にそらすことなく停止する。リブを入れて表面積を増やしたフロントブレーキキャリパーは、これまで以上に高速で安定すると期待できる。
一方同じく新エンジンを搭載する、最高出力160kw(218ps)の325iについて、330iとの運転感覚にいかほどの差分があるのか探ってみたが、正直なところ思い込みを押さえ込んで正確に評価しようとするほどに全くわからなくなってしまった。要因を探った場合に、330iでは40kgほどの重量増があることに目が行くものの、0-100km加速は330iが6.6秒で、325iはその1.1秒落ちと、測定値では確かに差がついている。街乗りで100km/hまで加速することはなく、0-60km/h加速で0.5秒程度の違いだとすれば、確かに感じにくいかもしれない。したがって「一番高いの」にこだわりがなければ、325iに必要な限りのオプションを追加するのが通な選択だと結論付ける。
320iの運転感覚は、もう330iとは別のクルマと捉えるべきかもしれない。4気筒の軽さを判断する前に、そのステアリングホイールのスムーズな回転に感心する。テスト車にはダイナミックパッケージがオプション装着されており、足回りのみならずステアリングやシートも標準状態とは異なるが、BMWが何かを意図していない限り、より接地面積の広がったタイヤによって重くなったはずの操舵感を、わざわざ打ち消すことはないだろう。さて1速からの発進は、音の面で少々誇張されているがBMWの4気筒エンジンそのものの世界だ。もうMTでなくてもいいのではと思えるほどトルクコンバータのスリップを感じない仕上がりに感心する。最高出力は110kw(150ps)と、325iとの500ccによるパワー差が、330iと325iのそれよりも大きいが、では加速に不満を感じるかといえばそうでもなく、急峻な坂道での追い越し加速を求めない限り問題を感じないはずだ。車線変更もひらりひらりと軽快に決まり、本当に感心する。加速一筋の低俗な嗜好ならばともかく、実績としての速さを求める向きには、かなり信頼と喜びを置ける相棒たりうるフィーリングである。スポーツシートは格段にフィット感の高い設計になっていた。
6気筒車と4気筒車の味わいは、320iのダイナミックパッケージ装着によるセッティングの違いを差し引いても別物になっており、それぞれがよいキャラクターを打ち出している。ライフスタイルと組みあわせてそれぞれの楽しみ方を追求できるだろう。
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