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新型3シリーズの妥当性
BMW新3シリーズフルラインナップ揃い踏み | 2005/05/22 |
■内装
先代3シリーズの内装は当時の上級シリーズに準拠していたが、今回も同様のアプローチとなった。ただし3シリーズではナビゲーションシステムが必ずしも標準でないため、過去からのBMWオーナーにいくつかの恩恵をもたらしている。インパネ上のエアコン吹き出し口の温度調節ダイヤルが、すでに5シリーズ、7シリーズではiDriveに完全吸収されているが、新しい3シリーズでは継続された。エアコンの運転状態表示パネルも独立して存在し、見た目の機械感が上級シリーズよりも上がっているのが嬉しい。5シリーズのダッシュボードではiDriveディスプレイを収めるフードの稜線が下部に反復されているが、3シリーズでは反復がなくなり5シリーズよりも整頓されて見える。キーを携行するだけで開錠から始動までがより楽になるコンフォートアクセス機能をオプションながら装備できる点も、5シリーズではかなえられないポイントとなる。
後席の装備としては、ライバル達が順次装備している後席用エアコン吹き出し口をこのたび装備したが、BMW流儀の温度調節ダイヤルも備わるところがライバルを一歩リードしている。その下にはシガーライターソケット2つをオプション装着でき、片方にシガーライターを、もう片方にiPod、携帯電話などの充電器を常設することもできる。音響機器を直接接続できるAUX IN端子が装備されるのも、携帯型音楽機器が世界的に流行しているご時世を反映させてのことだろう。装備されるオーディオ機器そのものは上級シリーズでのみ選択できた擬似7.1chのHiFiシステム・プロフェッショナル・ロジック7が3シリーズでも装備できることとなった。
とうとうというべきか、パワーウィンドウのスイッチがドア側に配置されることになった。ウィンカーレバーも電子式となった。シートベルト未装着の警告も、無機質なビープ音からチャイム音に変わった。ワイパーブレードはドイツ流のトレンドであるゴム部一体式のものになった。電子式のウィンカーレバーについては、これまでBMWが採用していたロジックに加え、キャンセルするためのロジックが追加された。具体的にはウィンカーが出ている方向とは逆にレバーを操作すればキャンセルできる。一見普通のようだが、今まではキャンセルしようとあがけばあがくほど、右に左にウィンカーが点滅しつづけていた。
シート材質はフルクロス、フルレザー、それらコンビネーションの3タイプ用意されているが、シートベンチレーション機能が用意されていない点から考えて、過酷な夏の日本ではコンビネーションシートまでが実用の範囲と考えるべきだろう。しかしテスト車の330iに装備されたダコタレザーのシートは見るからに上質で、オーナーの自尊心を満たすことは間違いないだろう。320iは日本におけるエントリーグレードだが、電動シートが標準装備だ。こうして運転席周辺で感じる差分はほとんどなくなり、あったとしてもオプション装備でその差は埋められるが、フロントセンターアームレストの分割スライドはオプションで対応できない。
こうして見てみると、新しい3シリーズは現在のこのセグメントにおいても、また5シリーズに比較しても遜色ないどころか一歩上回る点も多い。それが3シリーズに与えられたBMWエントリーセダンとしての使命を物語っている。
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