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Focus STはプレミアムハッチバック
先に結論を話せば間違いなくプレミアムなクルマだった | 2006/06/10 |
■はじめに
フォーカスSTが大人気だ。人気の理由はわかる。ハッチバックだが軽快感よりもむしろ重厚感。速いが不安よりもむしろまあまあ速くて心地よく安心。なんとなく大量生産のイメージを引きずるフォードとしては、目を疑うばかりのパーソナル感。写真を見るだけでこれだけのことを思わせられた。よりによってこんな鮮烈なカラーのクルマをサーキットに集め、よってたかって運転させた。姿は脳裏に焼きつき、音が頭蓋をこだまし、運転の記憶は夢に蘇る。そんな方もいらっしゃるのではないだろうか。
フォードブランドは日本において一旦失敗した。マツダのクルマをフォードブランドで売り、そのへんのオバチャンまで日本製ということを知るまでになった。日本のクルマの信頼性は皆が認めるところだが、ブランドと信頼性というものは必ずしも相関関係にない。あれから10年くらいは経ったのだろうか。ようやくアクが抜けてきたところへ、STの登場である。日本で、フォードが「始まった」。
■フォーカスST - 外装
今回取材した車についてまず伝えるべきだと思う。このクルマはFord Circuit Experienceで展示されていたクルマそのもの。フォード・ジャパンの広報車両で、各ディーラーで展示を目的に確保されたタマが売りつくされ、急遽試乗車としてその各ディーラーを駆け巡っている。新オーナーにはフォードディーラーの営業さんも含まれている。しかし、初期ロットの中から奪い取ったのではなく、別枠での購入ということなのでご安心を。
普通に販売されるフォーカスSTにこんな羽根はついていない。で、この羽根は展示時の飾り。マジックテープで留められている。なのでこのまま走ると簡単に取れてしまう。走行時は法令に従って外される。夢のない話でごめんなさい。仕様についてもう少し続けると、中身は正真正銘のフォーカスSTで4輪駆動ではない。日本に数台入ったホワイトのフォーカスSTをWRC文化で包み込んだもの。試乗する機会があっても、必要以上に興奮してしまわないようご注意を願いたい。
こうして並べて比べてみるとよくわかるが、バンパーやヘッドライト、ラジエーターグリルが標準仕様とは違う。ヘッドライトはGHIAのようなAFS機能はない。ヘッドライトウォッシャーも標準車両では装備できない。ラジエーターグリルは、その模様も異なるし、そもそもメッキが入れられていない。バーナーのようなフォグライトやその周辺を含めて、顔つきはずいぶんとスポーツ縛りで再構成されている。これがエレクトリックオレンジに合う。実に似合う。インターネットや、映画「MATRIX」に代表されるバーチャルワールドから飛び出したような印象を個人的には強く持つが、ホットハッチ様式でありながらそういう方向性のクールさを併せ持つあたりが、現代的なツール性向の三十代、四十代を強くひきつけるに違いない。
次のロットは秋に入ってくることになっている。そのときにはエレクトリックオレンジ、パフォーマンスブルーに加え、ブラックのラインナップが予定されているそうだ。おそらくモンデオST220に採用されているパンサーブラックという色だろう。色味のないボディーカラーを好む方には朗報かもしれない。
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