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Focus STはプレミアムハッチバック
先に結論を話せば間違いなくプレミアムなクルマだった2006/06/10


フォーカスST - エンジン
フォーカスST WRCルック - エンジン(クリックで拡大)ぎっしりと詰まっているようだが、よく見れば隙間もあり、アジア地域特有の高温多湿にもひとまず安心。ボルボ由来の5気筒エンジンは、ボルボの営業さんからポルシェ設計と聞かされたそのエンジン。したがってポルシェ設計と言ってもいい。GBではフォーカスST170というグレード用の174馬力チューンも存在するが、こちらはパワーが大きいほうで225馬力。トルクは3リッターを超えるエンジンと互角。あまり取り上げられないが、このエンジンはボルボに積まれているものとは結構違う。つまりポルシェの設計ともかなり違う。ピストン一つとっても、アルミ合金とセラミックのハイブリッドで軽量。他に給排気ともタイミングの変化するカムシャフトや鍛造コンロッドなどで高性能化しつつ、バランス取りは完璧。これで人の感覚に訴えないなら3年ROMった方がいいだろう(メーカーを3年やめろという意味)。

なお排気音も収録した。道路を走るトラックなどのノイズが多く公開を見合わせていたが、読者様の疑念を払拭するために公開することにした。本当にノイズが多いが、お聞きいただこう。東京都の「cube」さん、ありがとうございました。

フォーカスST - 内装
フォーカスST WRCルック - 内装(クリックで拡大)内装は控えめではない。ただし日本のメーカーがよくやるケバケバしい感じではなく、あくまでより高級。各所にアルミ調パーツがあしらわれるが、これが「調」とは思えない出来。また、レカロ製のシートはカラードサポートだったりする(当該車両はボディカラーが白なのでグレー)が、ボディカラーとマッチさせており逆らった印象はない。このクラスとしては上等な左右独立温度調整式のエアコンや、SONYバッジのついたオーディオは標準のフォーカスから装備されている。
かつてインターネッツでは「NSX Type-Rオーナーが、なれなれしく近寄ってくるミニバン系ホンダオーナーに不満を漏らす」孤高のコピペがはやったが、もしかするとそんな気になるオーナーも現れるかもしれない。

運転すると
今回はマツダロードスターの回(ROADSTERはプレミアムオープンか?)でも走行した、山を上り下るルートで試乗した。まずシートを合わせるが、シート全体の高さ、座面角度、背もたれ角度、前後位置が調整できた。ステアリングホイール位置は、チルト&テレスコピック調整。普通よりかなり前寄りに座るボクだが、クラッチを踏むたびに膝が当たるようなことはなかった。ただしステアリングシャフトが靴と干渉することがあった。これはカバーすると干渉しまくるだろうし、慣れれば平気な範囲だと判断した。

現場までは普通に走る。乗り心地は気合の入り気味な欧州車と横並び。路面からの振動は伝えるが、きちんとダンプされているので角は丸い。進行方向に一致する路面の継ぎ目に吸い寄せられる動きはあったものの、それは扁平タイヤ要因なわけだし、制御できないほど過大なものでもない。ターボ車の欠点として想像できるのは低速トルクの不足やターボラグだが、それはちゃんとあった。誤解されると困るが、ターボエンジンはそれと引き換えに得られるものがたくさんある。自然吸気の大排気量エンジンと比べて揶揄するなら、大きなエンジンを買えばよい。与えられたテーマをどれだけ楽しめるかは、その人間の器を示すはずだ。よくある「ツインターボエンジンはトルクの谷がどうの」と語るやつ。タービン一個取ればいいのに。

フォーカスST WRCルック - フロントブレーキ(クリックで拡大)さて、現場についたところでおもむろに踏む。FFの大パワー車で必ず感じるフロントアクスルが左右に膨らむ感覚はまるでなし。こいつは限界が高いぞとちょっと困った気になりながら直線部分で3速に入れたところへ突然横からこちらを確認せずに入ってくるクルマあり!すかさずブレーキをドカーン踏む。いやあこれだけで充分評価できましたよ。もう巌。バタつかない。4輪の支持は定位置のまま。タッチはリニア。ブレーキペダルをストロークする中でガクンと効きが増すところは全くない。フルブレーキしながら足の親指だけで踏力を調節できる系。みっしり詰まっている感じ。これがプレミアムなわけです。

ボクが常々唱える「強引に曲がり止る」がこのクルマにはあった。もう一つ、当たり前すぎて唱え忘れている「低級音がない」ことも、このクルマは満たしていた。そうするとそのクルマは何を伝えてくるのか。エンジン音です。このクルマのエンジン音は、ややもすると建設機械や産業機械のエンジン音のように聞こえる5気筒とは異質。どちらかといえば高価なV10に近い。ランボルギーニやBMWのV10サウンドってわかりますか?あの系統の音。このクルマは買って損はないどころか、いろいろと得だと感じて試乗を終えた。

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