富士重工業と理化学研究所は、自動車エンジンのシリンダー内径部分を仕上げ加工する技術として、理化学研究所が開発した技術「ELID研削法」を応用した「ELIDホーニング工法」を共同開発した。5月24日から国内市場で発売しているスバル レガシィの一部車種から、その技術を適用して加工された量産部品を使用したエンジンを搭載している。 自動車エンジンのシリンダー内径部分は、エンジンの出力や燃費といった性能を左右するピストンの往復運動を支えており、より高性能を引き出すために高精度な仕上げ加工が必要で、その処理を行う加工法としてホーニングがある。ホーニングとは、円筒形の加工工具に棒状の砥石を複数取り付け、研削液を注ぎながら加工工具を回転かつ往復運動させ、内径の面を磨き精度を向上させるもの。ホーニングには熟練した技能が必要であるとともに、設備が高価で長い加工時間を必要とするなど、エンジン生産のコスト面においては大きな課題の一つであった。 富士重工業は、このホーニング加工に「ELID研削法」を応用した新工法「ELIDホーニング工法」を理化学研究所と共同開発し、同社の水平対向エンジンの量産に採用した。「ELID研削法」を自動車のエンジン部品量産加工技術に適用するのは世界初。 「ELID*研削法」とは、理化学研究所の主任研究員 大森 整 氏が開発した鏡面加工技術。ダイヤモンド粒を、鉄分などを結合材に用いて固めた砥石を用いて研削を行うが、加工中に電気分解を利用して砥石結合材を溶かしダイヤモンド粒を常に表面に露出させ、いわゆる砥石の“目立て”を行うことで、目詰まりなどで切れ味が鈍ることなく、加工精度を安定化させるとともに、砥石寿命を伸ばし刃物交換などの段取りロスも削減するものである。 現在までに、シリコン、ガラス、セラミックス、高硬度鋼材、複合材など硬質で加工の難しい材料の鏡面加工において、高品質と高作業効率とを両立させる高度な技術として用いられ、半導体基板やレンズ、磁気ヘッド、ハードディスク基板、光コネクタなどの電子・光部品および金型の製造に適用されてきた。 *ELID(エリッド):Electrolytic In-process Dressing(電解インプロセスドレッシング)の略 富士重工業は、この「ELIDホーニング工法」を導入することで、シリンダー内径部分の仕上げの1気筒当り実加工時間を従来の70秒〜80秒から約40秒に短縮することができるとともに、シリンダー内面の精度向上と安定化を実現した。 この新工法の導入にあたっては、既存の設備に電極を追加するなどの小改造で対応できるため、設備投資を抑制し設備の休止期間も最小限ですむ。また、加工時間の短縮により生産能力が拡大するため、将来のある程度の需要増にも追加設備なしで対応できるメリットがある。 さらに、切削油に水溶性のものを採用し、加工時間の短縮から消費電力量も低減できるなど、環境面においても負荷の少ない優れた工法である。 現時点、本工法の導入は一部生産ラインに留まるが、その汎用性の高さから対象部品の拡大も可能であり、品質向上やコスト削減のため、今後より多くの部品への適用を検討していく。 以上、プレスインフォーメーションより
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