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メルセデスベンツS600Lを買おう
■なぜS600Lなのか
その前に今回の企画を説明いたします。まず記述形式が違います。こういう企画はですね、はじけなきゃ書けんのですよ(笑)。だからまあ親友でもないけど皆さんを無理やり共犯者に仕立て上げるために肩を抱え込みながら話す、そんな感じで読んでもらえたらと思ってますよ。今後も高額な車の数年後を睨んだ、中古で買える価格になったとき改めて読み返してもらえるような記事を書こうと思ってますんで。まあそんな感じで。
さて正直、S600Lが買えるだけの貯金があっても買わないでしょ?でも500万円、いや400万円くらいなら貯金なくても買いたくないですか? ボクは中古並行のアルピナB10-V8ツーリング(400万円くらいだった)を買おうとしたことがありますよ。店員さんに中古並行で走行3万キロは怪しいので調査したい、ちょっと待ってくれと言われ、その日は帰ったものの家では悶々とした状態が続き、そうだ手付を入れようと思い次の日また店に行くと、もう手付が入ってたでんすよ。たった1万円・・・。その1万円で手付の彼は2週間も考えた挙句、購入したそうです。わかる人にはわかると思いますが、ウッドトリムはアンソラジットで、アルピナ純正のタワーバーまで入った日本ではちょっと手に入らないだろうシロモノでした。排気音も本国仕様で、アイドリングでは昭和の建物の窓ガラスならビビリ音をくれるだろう、かなりの重低音。でもちょっとアクセルペダルを踏めば、「フェラーリ?ああ、あのキダスペ入れなきゃクズみたいな音のクルマ?」と鼻高々になれる程甲高いシビレるサウンドだったわけですよ。買えなかった・・・。いや、これはですね、皆さんもそういうクルマに出会ったときは、たった1万円で権利が得られるのならそうしてくださいという老婆心です。
話を元に戻しますね。S600Lは現時点で買えるセダンの中で、最高のパワーとトルクを誇るクルマです。これには異論はないと思います。最高出力が368kw(500ps)で最大トルク800Nm(81.6kgm)。これはセダンに縛られずクルマ全体を見渡しても強烈な数字です。トルクなんかはもうトラックの数字ですね。8000cc級ターボディーゼルのトルクですよ。長距離トラックのエンジンに匹敵する力をセダンに与えてしまっているわけです。これ、魅力のポイント1ですよ。
そして機械としての魅力。カードキーをポケットに入れておけばドアハンドルを握った瞬間に認証作業が行われ、承認されればメータークラスタ脇のLEDがド派手に光ってドアロック解除、乗り込んでブレーキペダルを踏み込み、セレクタノブ頂点のスイッチを押し込めばスターターが回り、マルチシリンダーの息吹きを伴ってエンジンが回り始める(この件は後に日本ではあたわないことが判明)。かたや高速を走ればレーダークルーズ(ディストロニック)で快適そのもの。オービス検挙のためだけに制限速度が低くなってる箇所にさえ気をつければ。これら未だに先進的な装備は、魅力のポイント2ですよね。
セダンとしての魅力ももちろんあります。インテリアは総革張りで、革の弱点と言える発汗に対する通気性を確保すべく、シート自体が温度や湿度を調節する機構(シートベンチレーター)を持っている。実はここは鬼門でもあります。革は扱いが雑だと糸がほつれたり、深いしわがついたり、着色した表面が剥がれてしまう場合があります。複雑な機構は故障を呼び込むでしょうね。しかしクルマの内装修理もチェーン化され始めており、部分修理や革表面の調整なども可能な時代になってますよ。機構部分は今までも直せた部分ですし。あきらめる必要はないんです。これ、やっぱり魅力でしょ?ポイント3です。
でもリスクは考えなきゃならないじゃないですか。この大出力をツインターボで得ているところが恐ろしい。壊れたら大変でしょうねー。いくらかかるか知りたいですよね?わかりました。取材します。他に何かありますか?デフとかプロペラシャフトのセンターベアリングやインシュレーターは持ちますかね?持たないですね。触媒やマフラーも飛びますよね。油圧サスは車高や減衰力が調整できるなんて壊れそうですね。交換、いくらなんですかね?ウィンドウやシートの作動用モーターもいっぱいついてますよ。ここまで考えたところで、普通の人ならもういいや、となるわけですよ。妄想段階で既に修理代は400万円くらいに達してます。買ったときの価格じゃん(笑)。しかしリスクを取らなきゃ幸せにはなれんのです。そのリスクに目をつぶれば、ちょっとありえないくらいの甘い汁なわけで、それも恐ろしいですね。先代ではどうだったかとか、想定するときりがないのでこの程度にして、2003年登場のクルマですから、そろそろ事例もたまってきてるはずです。ディーラーを訪ねてみましょう。
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